「これじゃ黒猫じゃなくて山猫だな」
ー前日までの流れー
筑波山の登山計画を立てた俺達の元にどういうわけか黒猫が同行することになった。
ここら辺の話は長くなるからまた今度話させてくれ。
ー導入終わりー
黒猫がカメラに映ってないじゃないか、と思ったやつもいると思う。
それは、黒猫が、俺のちょうど2メートル後ろの距離を保ったまま着いてきているからだ。
カメラにうつそうとすると「記録されし装いではない...」とかいってどっかいっちまう
なら、俺なんか無視して先にグイグイすすんじまえばいいのにな
ーーーー
「あいつら......後ろちゃんと見てるかァ?」
俺がローアングルからの撮影に夢中になっている間、友人との距離がだいぶ離れ、黒猫と二人きりになってしまった。追い付こうとすればするほど、気温も相まって疲れがたまる。
「完全に自業自得じゃない」
黒猫は汗ひとつかかず、答える。
二人きりの沈黙からくる緊張感からつい、愚痴がこぼれていく。
「黒猫あついよーーー😢」
「静かにして頂戴」
「あついよーーー😢」
「みっともないから!」
「あついよーー😢」
「そんな言わなくても準備してるから!」
すると、黒猫はおもむろに上着を1枚脱ぎ、俺にかけたのである。
すると、黒猫はおもむろに上着を1枚脱ぎ、俺にかけたのである。
服にはファンが内蔵されており、涼しくなったはずだが、頬の火照りが引くことはない。
「これで少しはましになったでしょう?」
黒猫の顎から汗が滴り落ちる。
「私が登山に興味があると思う?」
冷気を失った黒猫は次第に頬を赤く染めていく
「私は"貴方の"興味のある登山に興味があったのよ」
ーー夏はまだ、はじまったばかりだ。
「私が登山に興味があると思う?」
冷気を失った黒猫は次第に頬を赤く染めていく
「私は"貴方の"興味のある登山に興味があったのよ」
ーー夏はまだ、はじまったばかりだ。