花寺のどかと「寄生獣」泉シンイチの共通点

会うオタク全員ヒープリを見ていなかったのでヒープリの話ができない。

なので見ていない前提でどう面白かったか自分なりに残すことで供養していこうという記事。オタクと話したい内容は多々あるが*1ここでは花寺のどかの物語に限り、重要だと考える2話と42話のあらすじを前提知識として共有した後に泉シンイチくんと同じ等身大の自我の獲得がメインテーマであることを考えていく。

 

前提知識

2話「パートナー解消⁉わたしじゃダメなの?」

  あらすじとしてはHPより*2

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この話の一番印象に残る部分はラビリン*3プリキュアをしたいと訴えかけるシーンで、プリキュアに変身できないながらもメガビョーゲン*4に立ち向かうのどかにラビリンは訴えかける。

 

”「のどか! あんな格好、意味ないの分かってるラビ! 何で逃げないラビ!」

「だって、助けたいんだもん! ラテも、エレメントさんも…学校も…」

「私ね、長い間、ずっと病気で休んでたの…」

「ずっとずっと思うように動けなくて…何もできなくて…、辛くて…、悲しくて…、寂しくて…」

「でもね、お父さん、お母さん、お医者さん達、沢山の人が励ましてくれて…、助けてくれて…、そうやって元気になれたの…」

「だから私、思ってた…。今まで助けてもらった分、沢山の人達にお返ししたいって…。色んな人を助けたいって…」

「お願い、ラビリン…。私は運動得意じゃないけど、お手当てだけは、プリキュアだけは、何があっても頑張るから…!」

「苦しむ地球を、ラビリンと一緒に助けたい! これが今、私の一番やりたい事なの!」”

 

・・・

シンプルに中学生のすがり方じゃなくて怖い。

患者という弱い立場の長さが中学生らしくない自尊心の低さや社会への信頼、滅私奉公の精神を育んだであろうことを印象付ける内容になっている。

 

42話「のどかの選択! 守らなきゃいけないもの」

 あらすじは先程同様HPより*5

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この話で重要なくだりはラビリンの励ましで以下になる。

 

「ビョーゲンズを浄化しなきゃいけないラビリンのために、助けなかったラビ?」
「もし・・・、もし、のどかが助けたいなら、ラビリンは・・・、ラビリンは一緒にダルイゼンを助けるラビ!」

……

「のどかは、ダルイゼンを助けたいラビ?」
「そうした方が、良かったんだと思う・・・。」
「そうじゃないラビ。のどかの気持ちを聞いているラビ。」
「無理・・・。私、どうしても嫌! 嫌なの!」
「のどかが自分を犠牲にしなきゃいけないなんて、
そんな義理も責任もないラビ! のどかは十分頑張ってくれてるラビ!

それは、ラビリン達が、よーく知ってるラビ!」
「だから、のどかは、自分の気持ちも身体も大事にしていいラビ!」

 

ここではダルイゼンを救うことが理想として考えられていること、気持ちとしては嫌なことが語られている。
また、ラビリンとしては浄化することが使命ながらものどかの選択を優先する姿勢であることが強調されており、そしてのどかは気持ちを優先することを選び、助けを乞うダルイゼンに対し自らの身体が自分のものであることを主張しながら攻撃を強めた。

 

このシーンは議論を呼び、花寺のどかはヒーローでないことを指摘する意見(だからダメという趣旨)か新しいヒーローとして全面的に肯定する意見かのどちらかだったように記憶している。しかしながらヒーローでないからこそ尊いのだと私は主張したく、同様のテーマをもつ泉シンイチの物語と重ねることで説明する。
 

 

泉シンイチとの共通点

 

ここで寄生獣の泉シンイチについて考える。
シンイチは学生ながら母親を寄生生物によって失っており、その経験から人類を寄生生物から守ることに対し使命感をもって動き続ける。
しかし物語の終盤に寄生生物は人と重なる弱さがあること、命はみな平等に尊いことを認識し、寄生生物を放置することを理想としながら自分の家族を守るというエゴから寄生生物の命を奪うことで寄生生物とシンイチの物語は終わる。

 

これは闘病生活を経たからこそお手当に強い使命感を感じ、皆を救うことを理想としながら自分の気持ちを優先する花寺のどかの物語と構造的に重なる。では泉シンイチはもし今バズった場合、新しいヒーローとして受け入れられるか。それともヒーローでないから駄目だと拒絶されるだろうか。

 

シンイチは人類一般の視点において一貫してヒーローである。
しかし命はみな平等に尊いことを理解しながら手を汚すことを意識するシンイチは、ヒーローとして魅力的だと受け取るよりヒーローでない等身大の人物としての自我を獲得しなおしたからこそ魅力的だと受け取るだろう。

 

花寺のどかに対しても同じ構図物語が読み取れると考えており、ヒーローにならざるを得なかった過去をラビリンと共に乗り越え、自らの気持ちを優先することができるようになることは泉シンイチ的な魅力に満ちているのではないかと考える。

  

のどかちゃんよかったね……

*1:ヒープリにとってプリキュアとはどういう立ち位置か。風鈴アスミとは何者か。43話の自己犠牲による突破口とは何だったのか。作中のメインテーマとはなど

*2:ストーリー(あらすじ) | 第2話 | ヒーリングっど♥プリキュア | 東映アニメーション

*3:ヒーリングアニマルというプリキュアのお供、互いに息を合わせることでキュアグレースに変身する。

*4:今作における敵。病気や環境汚染がモチーフ

*5:ストーリー(あらすじ) | 第42話 | ヒーリングっど♥プリキュア | 東映アニメーション